Ballet Diary



「正しく食べる」

「教養としてのバレエ」

   1)バレエ鑑賞

「親離れ、子離れ」

「 バレエで子供の体力を増進させる」

   1)幼児の場合
     2)6〜7才の場合
     3)小学生、中学年
     4)小学生、高学年

 

「正しく食べる」

将来バレエリーナを志すものとして、体型の維持は絶えず心がける必要があります。教養として習っている分なら構いませんが、本格的にバレエの道を進むには、それなりの努力ができる精神力も一つの条件になります。

今飽食の時代に、正しく食べることは意外に難しいことです。バレエの場合、最小限の筋肉で最大の力が発揮されるよう身体作りができるのが理想で、ただトレーニングを繰り返し、筋肉の繊維が太くなり強い力を出すようなスポーツと同じわけにはいきません。

通常、女の子が一旦体重を落とすとなると、生野菜ばかり増えてしまいがちです。たんぱく質が減り過ぎると、その子が持ちあわせているはずの力まで失くしてしまう可能性も十分にあるので、正しい食事のとり方がとても重要になってきます。

踊ることに限らず正しく食べることはその人の能力を上げる第一歩です。それは栄養素だけの問題ではありません。いかに効率良く栄養素を取り入れ、エネルギー化できるか。特に体重を増やせないバレエ人にとって大切な知識です。今の人達が食べている量は、バレエをする人だけでなく、一般の人達にとっても食べ過ぎと言えるでしょう。特に炭水化物の量は取り過ぎる場合がほとんどです。

猿から人間に進化した時代までさかのぼれば、狩猟生活が人間の基本でした。射止めた餌を肉だけでなく全ての部位を食していた時代は塩分も自然に摂取できていました。そして農業が生まれ、移動の必要が無くなり、定住し始めたところから現代病が発生したのです。

炭水化物を取らないことはいけませんが、エネルギーになると一般に言われている炭水化物も不必要にとり過ぎるとかえって栄養素を取りこめなくなります。

ポイントとしては、朝の食事の時点では塩分の補給に務め、生ジュースや果物なども含めて、甘いものや甘い味付けのものは全て避けてください。パンなども砂糖が入っているものが多いので、純粋な和食、干物などのたんぱく質や漬け物に野菜、味噌汁などか理想的です。甘い味付けは昼食以降が良いでしょう。

量は少ないところから始め、体重もチェックしながら量を調節しましょう。全身アトピーの子供が食事量を半分にしただけで皮膚が改善した例もあります。あくまでも体重を減らすことが目的ではなく、自分にとって効率よく消化し、身になる正しい量をつかむことが目標です。

荷物に例えてみましょう。1回で30sを持ち上げられる人に50sの荷物を1回で運ぶよう指示しても、持ち上げられず、全てを運ぶことができなくなります。増えた分20sだけが運べないのではありません。栄養素も全く同じで自分にとって限界値を超えて接種すると、吸収力がかえって激減してしまうのです。適切な量をいただくと、食べている量が多くなくても栄養を取り入れる効率が以前より良くなります。するとたくさん食べなくてもエネルギーが不足することがなく、行動できるようになります。

正しく食べるとは自分の能力を発揮できる状態を維持する必須要素であり、ただの体型維持ではなく、踊るという行為、大きくは健全に育つという今では難しくなりつつあることに、かなりの影響力があるわけです。

食事前にお腹がすいていることが大切でとても良い目安になります。グーグーとお腹が鳴るくらい空いていることで必要なホルモンか分泌されています。空かなければその前の食事の量が自分にとって多かったか、不必要な間食を取ったと判断できます。また状態が良い時は目が青っぽく涼やかです。目が充血していたり、少しの間静かにしただけで居眠りしそうな場合は、その人にとっては食べ過ぎている場合が多いようです。

とてもわかりやすい基準だと思いますので是非皆さんも参考にしてください。

各分野のトップのコメントで
「子供のころ貧しく、ひもじくていつもお腹空かせていた」
といった話をよく見かけます。
「子供に何が欲しい?」
と質問して
「・・・・・のゲーム」
と答えるより
「ごはん!!」
と答えるくらいの食事の方が、その子の持っている能力が最大限に発揮できるよう育つのかもしれません。

「教養としてのバレエ」

   1)バレエ鑑賞

 

日本で行われたバレエの舞台は1922年、瀕死の白鳥で有名なロシアのバレリーナ、アンナ・パヴロアが公演したのが最初と言われております。映画解説で有名な淀川長治さんが13歳の頃、偶然チケットを手に入れ見に行ったところ、感激の余り終演後ずっと劇場の前で座って涙を流していたと後に文章に書かれております。

「この世の中でこんな美しいものがあるのだろうか」

そんな衝撃が彼の体に走ったのでした。その後何十年と淀川さんのバレエ鑑賞は続きました。お体の自由があまり利かなくなりテレビから遠ざかった後も、周りの方に支えられるようにして劇場のバレエ公演に足を運んでいらしたのが目撃されています。そのくらい最初の公演の印象が心に残り、お仕事は映画でしたが生涯バレエ鑑賞をお続けになったのでした。

 

私のバレエ鑑賞で最もよく見に行っていたのはなんと小学生の時。田端に住んでおりましたが、上野の東京文化会館まで自宅から15分あれば見に行ける環境に恵まれ、随分と外国のバレエ団や東京バレエ団の公演を見に行ったものです。

 

通っていたバレエ教室に公演のチラシが張ってあると、親に相談せず何でもチケット申し込みの紙に名前を書き入れてほとんどの公演を見に行きました。近いということもあり小学校高学年からは一人でよく行ったものです。今考えれば安いとはいえないバレエのチケットを両親は何も言わずに買ってくれて大変有難いことだったと思います。

当時のプログラムは大変豪華に作られており、表紙の紙も厚く今だったら1万円で売らないと合わないようなしっかりした印刷物でした。ドン・キホーテ全幕日本初演の公演にも一人で行き、噂のグランフェッテ32回転を初めて見ましたが、あまりの周りの観客の熱狂ぶりに上気してしまったのか咳き込んでしまい、肝心のフェッテをしているダンサーから目を放してしまった記憶があります(笑)その時のプリマは2009年に亡くなったボリショイの名花、エカテリーナ・マクシモワだったと記憶しております。

数々の往年のバレリーナ達

レニングラードのイリーナ・コルパコワ

パリオペラ座のノエラ・ポントワ

ロイヤルバレエのマーゴット・フォンティーン

ボリショイバレエのマヤ・プリセツカヤ、そしてエカテリーナ・マクシモワ

など1960代から70年代、80年までに活躍した名プリマの舞台を何度繰り返し見たことでしょうか。この記憶が私のバレエ人生の土台となっております。今考えると本当の意味での勉強をさせていただいた極めて贅沢な時間でした。

 

今はDVDやブルーレイでたくさんの作品とプロのダンサーを見ることが出来ますが、やはり生の舞台の良さには勝つことはできません。指揮者が入場し幕開きの序曲がオーケストラによって演奏され始めた時の高揚感は特別なものがあり私の大好きな瞬間です。その場にいるということはとても大切でたくさんの情報量が刺激として入って来るからです。映像を見るのとは比べ物になりません。見たものは必ず知識として蓄積され、後に役立つ大切な貯金となってあなたを支えてくれるでしょう。子供が良いもの、よりレベルの高いものを見ることで目標や向上心が全く違ってくることも確かな現象です。

 

バレエが教養になる理由がここにあります。塾に通うだけが子供の教育ではありません。姿勢が良くなる、身のこなしが美しくなるといった身体的利点の他、全面性を伴った舞台芸術に身を置くことが多くの刺激になっていくからです。是非舞台というものがどういうものか、お客様にはどのような刺激があるのか実際に自分の体で感じさせてください。それを感じとることが積み重なっていくと何のために踊るのか、そういった舞台の基本の概念が大人になって出来上がっていくと感じます。自分のためだけに踊っていると必ず限界が来て息詰まり乗り越えられなくなるものです。

 

「舞台とは何か」

は舞台でしかわかりません。それだけの魅力がそこにあるからこそ長い間舞台芸術は継承されてきました。そんな世界に是非お子様を導いてあげてくださることを切に希望し、またご両親も鑑賞側として楽しんでバレエに触れていただけたらと思います。

親離れ、子離れ

 

春は待ちに待った入園、入学の時期ですね。子供のみならずご両親も子供の新しい環境に心がワクワクと弾むことでしょう。

 

バレエ教室も春は入会の時期でたくさんの方々が見学や体験にいらっしゃいます。既に幼稚園や保育園を一年経験したお子さんは、ある程度親離れをしており体験レッスンもスムーズに進みますが、まだ、未就園で他の習い事もしたことがないお子さんは、初めてママから離れる訓練の場がバレエになります。いろいろなお子さんがいらっしゃいますが、中にはママから2メートル離れると泣き出してママに駆け寄るお子様も結構いらっしゃいます。

 

当教室では入会後、親子分離でご両親はスタジオに入らず、ガラス張りの教室では外から見るのも控えていただいております。長い間子供を教えてきた経験上、子供が泣いているからとママが中に入ってもらうとその子の親離れの時期をかえって長引かせてしまうからです。確かにママが視界からいなくなると最初は泣いていますが、一緒に体を動かしていると大抵は泣き止むものです。泣いているからとあまり心配そうに相手をしすぎてはいけません。泣いていることにはこちらが乗らず、ただひたすら他の子供と同じように声をかけ体を動かしていくと「泣くことは無意味なのかも・・・」と自然に楽しい方に向いてきます。泣いている子供の手を引いてスキップさせる様子を傍から見ていると「ちょっとかわいそうかも」と思われる場合もあるかもしれませんが、子供には話して言い聞かせるより、体を楽しい方向に動かせば気持ちも変わってきやすくなるものです。

そして子供が親離れする最も重要なポイントは、親が子離れすること!

泣くことがなかなか治まらないお子様のママはやはり不安が大きく、「始まったらいなくなって下さい」とアドバイスしても心配で物陰に隠れて見ている方が多いのです。これが不思議なことに子供には通じるのですね。両親がこういった行動をしているうちは子供が泣き止まないのです。

 

このような時には「バレエの時間は手が空いて子供の事は忘れていただき、自分の好きな洋服を見にいったり、今日の食事のショッピングをしたり貴重な自分のための1時間として楽しんできてください」と申し上げます。親の方が子供を良い意味で忘れると子供も自立できるようになります。

 

もちろん泣くことをしなくなるのにも早い、遅い、の差はあります。泣かないまでもレッスンせずに2か月近く端で立って見ていただけのお子さんもおります。そういった場合に先生や他の生徒さんにご迷惑がかかると恐縮するお母様が多いのですが、気持ちが小さくならずに絶対に直ると大きな気持ちで構えていてください。

 

子供はご両親の子供であるとともにこの社会の子供でもあります。子供なりの社会でコミュニケーションがスムーズにとれるように導いてあげることが周りの大人の務めでもあります。親も教師も「子供を信頼してあげること」が子供の成長の第一歩になるとつくづく感じます。泣かないでレッスンできるようになった時の喜びは親も教師も皆一緒、成長した瞬間を共有できる幸せを有難く感じます

 

さて、この春はバレエ教室でどんなお子さんと新しい出会いが生まれるのでしょうか。

今からとても楽しみな今日この頃です。

「 バレエで子供の体力を増進させる」

1)幼児の場合

 近年、体格が良くなっても子供達の体力低下は著しく、頻繁にニュースや新聞、はたまた学会などでもこの問題が取り上げられています。

 もちろんバレエの世界でも事情は同じ。特に幼児から小学校3年生位までの子供達の体力、集中力の持続に関しては今の時代に事を置き換えて進めなければなりません。今の子供はおむつを卒業するのが昔より遅く、ご両親もスピードが遅く時間がかかる歩き初めの2,3才をのんびりと見守り待っているような精神的、時間的余裕がなかなかありません。すぐにバギーに乗せて出かけるのがごく一般的なことです。

 「こんな大きな子までバギーに乗せるの?」と我が目を疑った事さえ何度かあります。

 そんな調子なので、つい最近までバギーに乗っていたとみられる3,4才のバレエのクラスでは、グループに分けて順番に動き必ず座って待っている時間を設けます。また座って柔軟や手の動きを練習してみたり、その日の子供の体力によって立っている時間と座っている時間を調節します。これは大人も同じですが暑さや湿度などの天候にも左右されるし、その日の幼稚園行事にも左右されるからです。それでもレッスン中に突然床にはいつくばって爬虫類化している子供もたまにはいます・・・・・(笑)

 でもそれは、いつか必ず直ること。言ってみても立ち上がらない時には叱ることはしません。外国のバレエ教室の方があっちで転がりこっちで転がり子供達がしているようです。日本のバレエ教室は最初からお行儀重視の傾向がありますが、考えてみてください。「この世に生まれてまだたったの3年余り、日本語もたどたどしい子に真面目にやり通す事を強要するのは10年早いのでは」と感じ、いつの頃からか私は待つ事にしました。

 体力は一朝一夕につくものではありません。どんな子にもある時、急に変身する日がやってくるのです。芋虫のように「くにゃくにゃ」としていた女の子が、ある日自分から列の先頭に立ち、はつらつとスキップをする日が必ずやってきます。そんな時には「○○ちゃん、よーく出来るようになったね!」と思いっきり褒めます。実は本人より教えているこちらの方がずっと嬉しいくらいなのです。そのような「成長」という変身の瞬間に立ち会える幸せを私達バレエ教師は子供達から常に頂いております。

 体力にしても集中力にしても天使のように純粋なこの年齢は、決して教師から強要せずにひたすら楽しませて来るべき日を待つ・・・・・・。

そんな時期だと私は思っています。

2)6〜7才の場合

 6〜7才と言えば幼稚園年長さんと小学校1年生にあたりますね。この頃の子供の体力について考えてみましょう。

 バレエ教室に入って1年、2年経った年長さんは、だんだんレッスンや教師に慣れてきて精神的にも余裕が出てきます。そんな中で次第にレッスンを中断しても教師にバレエと関係ない質問をしたり、友達通しで話したりと自分の意志での言動が増えていきます。時には可愛らしい反抗期も見せ始め、こちらが言ったことと反対の事をわざわざしたりこちらの口まねをしたりと自分の存在をたっぷりと教師にアピールしてくるようになります。

 そんな精神的成長ぶりを見せてくれてもなかなか思うように付いてこないのが肝心の体力です。年長さんになったので順番で座ってお休みの時間は作らず、そのまま立たせて1時間レッスンが出来るまでに

「疲れた・・・・」

「座りたい・・・・・・」

とこぼす子が続出。根比べの始まりです。年上の年齢の子と一緒にレッスンしていると自然に引っ張られて座らずにお稽古出来るようになるのが早くなるのですが、年長さんだけでお稽古していると甘えが出るようで座りたいと口にする子がなかなか減りません。子供ながら先輩の影響はかなりあるようです。

 1年生になると体力の関門は春から夏にかけてでしょう。子供にとって幼稚園から小学校に入学する事は一大イベントです。幼稚園バスでなく徒歩で毎日わくわくと通い、新しい友達もたくさんできる。4時間、5時間と授業があり、遠足や運動会などの行事も盛りだくさん。4月、5月はそのペースに慣れるだけで精一杯です。

  そんな時期にバレエの稽古回数を減らしたいといった親からの相談を受けることが時々あります。疲れて学校から帰ってくると寝てしまってバレエのレッスンに行かれないといった事が理由です。

 確かに1年生の春は親も教師も我慢のしどころで、ここでレッスンの回数を減らしてしまうのは教師の立場からみるととてももったいない。実は小学校1年生の年齢では反対に稽古回数を増やしたい年齢。週1回だった子が週2回に増やすチャンスの時期です。

 リズム感を養い楽しく体を動かしていた幼児用のレッスン内容からクラシックバレエの基礎編に入る大事な時期です。楽しさプラス技術を習得していくために動作を反復して練習をすることが必要とされてきます。人間の運動神経は8才から急激に発達し始め、その時期に向かってバレエをする時間を増やすことは理に適っているのです。ここで減らさずに我慢していると夏休み、または秋頃にはすっかり忘れて稽古に通う子供の姿を目にする事が出来るのです。

 今の子供は習い事が多く、安易に体力が低下したと論議することはできません。習い事に連れて行っているのは大人だからです。私から見れば、1時間以上座らずにお稽古できるようになることはバレエの技術が一つ身に付くことよりずっと子供達にとって大切な出来事。それが出来た上で一つ一つの動作を覚えようといった気力が生まれてくるのです。

 ツバメの子が卵から孵って雛になり親ツバメから口移しで餌を食べ始める、そんな変化の時期なのです。

3) 小学生、中学年

 小学校生活にも慣れ、気持ちの余裕が見えてくる頃です。幼児からお稽古している子供は既に経験5年になる子も。発表会も2度3度経験し踊りを覚えることも早くなってきます。体力もそこそこついてきて舞台のために長いリハーサルをしてもだんだん平気になります。

この頃になるとかなり性格の個性がはっきりしてきます。様々なタイプが一緒にレッスンする中で教師は統一して全体を引っ張る事が重要になってきます。優しい雰囲気の言葉掛けが必要な子、少し厳しい態度が必要な子、いろいろな子供がいますが、1対1で対応してばかりはいられません。はっきり言わないと納得しない子供に向かって厳しく言っているのに、後ろにいた他の子供が過剰反応してしまったりといった現象がおきてしまうこともあります。自分の本心と反対の答えを言ってしまうようなあまのじゃくさんもいてなかなか手強い年代です。

稽古回数は出来ればこの頃までに増やしていた方が後になって楽です。前にも記したとおり、この頃から運動神経の発達が活発になります。この時期にたくさん動く、またレベルの高い舞台を目にすることは自分の財産となり後になって役に立つことでしょう。

自分が子供の頃はソ連のバレエが全盛期でしたが、小学生高学年になって上野の文化会館に一人で行けるようになってからは、稽古場に張ってあったチラシをみていつも勝手に一人でチケットを申し込んでいました。今考えるとかなり贅沢をさせてもらっていたと思います。有り難いことです。

この頃のレッスンは一つ一つの動きを単純に反復して覚えることに徹します。動きを組み合わせて練習するのはもう少し年上になってからが望ましいでしょう。一つの動きをなるべく正確に覚えてから組み合わせに入らないと全ての動きが中途半端になってしまいます。子供も年上のレッスンを見て「早く回りたい、飛びたい」と思い始めますが、教師共々我慢のしどころですね。

でも動きたいと思うことはいいことです。自分の頭の中に動く時に使う回路が視覚的刺激によって活発になり情報が蓄積している証拠です。レッスン風景、舞台の踊り手、様々な映像が自分の頭の中に蓄積しているといざ、自分が動き出す時に自動的に思い出され、全く初めてその動きを見る人より数段早く習得することが出来ます。大人は一つの物を観てもいろいろ注釈を自分なりに付けて記憶してしまいますが、子供の頃は純粋ですので観た物がストレートに刺激となって入ってきます。いい事ですね。

何よりも好きでやるのが一番早い。好きでいることが本人にとって、教師にとって、また家族にとっても一番楽であり、バレエと生活がうまく回転していく「コツ」です。

そして好きでいさせてあげることが教師の努めでもありますね。

3) 小学生  高学年

 小学校高学年のバレエの生徒で一大イベントは、そう、トゥシューズを履くことですね!

バレエを習っている女の子に憧れのトゥシューズは10歳を目途に訓練を始めます。 ただしお教室によってかなり違いもあるようですが、子供の骨の成長を考えるとあまり早すぎる訓練はお勧めいたしません。骨の成長を妨げたり、足の骨の変形にも繋がるからです。

 普段、足の裏全部で体重を支えておりますが、ポワントの底面積は5センチ四方もない程度です。

そこに全体重を掛けるわけで良く考えてみれば曲芸のようなことをやっているわけですね。自分の足とはいえ竹馬に乗って踊っているようなものです。その小さな底面積だけで踊るにはそれだけバランスの感覚が細くなければいけません。これが他の踊りと比べてより厳しいバランス感覚が要求される所以です。

 バレエシューズでは自由に踊れたのに、ポワントになったらなかなか思うように動けないといったと時期をみんなが通過していくのです。

ポワントでまっすぐ立つには ・身体がまっすぐに引き上がっていること
・足首が伸びていること
・膝が曲がってないこと
などの条件がクリアしてなければなりません。バレエシューズで踵を上げて踊る感覚とは全く違った次元のものとなります。生まれつきの要素もかなり影響ありますがポワントをはくまでの何年間かのレッスンがとても重要になります。

 子供たちにはここまでできないとトゥシューズを履いた時に苦労するよと早めにアドバイスをしておきますが、実際に履いてみないとポワントで立つ難しさは実感できず、いざ、履いてみると立つだけで大変な思いをしてしまう子供がいます。

履く時になって頑張ってみても遅いのです。小さい時からの基礎は全てこの時のためにあり、正しく立って自分の体をコントロールできる基礎の力をそれまでに蓄えておきましょう。

 それが一番の早道です!